大学生の文化的自己観とゼミ担当教員のリーダーシップ・スタイルがゼミへの態度に及ぼす影響

書誌事項

タイトル別名
  • ダイガクセイ ノ ブンカテキ ジコカン ト ゼミ タントウ キョウイン ノ リーダーシップ ・ スタイル ガ ゼミ エ ノ タイド ニ オヨボス エイキョウ

この論文をさがす

抄録

P(論文)

本稿は,首都圏の四年制大学で心理学系学科に所属する学生を対象に質問紙調査を実施し,大学生の文化的自己観およびゼミナール担当教員のリーダーシップ・スタイルがゼミへの態度に及ぼす影響を検討した実証的研究である。まず,他者との関係において自己をとらえる様式の違いが,集団内での人間関係に影響するとともに,集団をけん引するリーダーに対してフォロワーが抱く期待や満足度にも影響する可能性を先行研究の知見に基づいて論じた。そのうえで,この問題を大学における学生とゼミ担当教員の関係に援用して調査を実施し,そこで得られたデータを用いて,文化的自己観(相互独立的自己観群/相互協調的自己観群)およびゼミナール担当教員のリーダーシップ・スタイル(PM型/Pm型/pM型/pm型)を独立変数とし,ゼミへの態度(ゼミの興味価値,ゼミの課題・目的の存在,ゼミの居心地の良さの感覚)を従属変数とする被験者間要因による2×4の分散分析を行った。  その結果,リーダーシップ・スタイルの主効果および一部の交互作用が有意であった。PM型のゼミ担当教員の元ではゼミへの態度が一貫して高く評価されることが示された。また,指導力が低くてもゼミ生への配慮を行うpM型のゼミ担当教員の元では,学生の文化的自己観の違いによってゼミでの学習面における態度が異なることが示され,相互独立的自己観群よりも相互協調的自己観群のほうが,学びのモラールが高く,ゼミの学習内容に興味関心を持ち,将来役立つと感じる傾向があることを裏付ける結果が得られた。  これらをふまえて,ゼミナールを担当する大学教員がゼミ生の学業面におけるモラールを高めるために留意すべき点を文化的自己観およびリーダーシップ・スタイルの観点から考察し,今後の研究の課題を述べた。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ