東京都ごみ問題の現状と展望

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  • トウキョウト ゴミ モンダイ ノ ゲンジョウ ト テンボウ

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東京都、特に大都市の廃棄物処理について従来より焼却、公害防止、資源化を中心として技術開発が進められ、相当な成果を挙げているが、収集と輪送に関しては低効率で公害誘発的な小型ごみ収集車(パッカー車)による方式が中心であり、環境面での障害が顕在化している。また、首都圏における都市機能の一極集中化は、使い捨ての風潮と相俟って、廃棄物・ごみの発生量を年々肥大化させるのに対して、ごみ処理場の確保は面積的にほぼ限界に達している。このような危機的状況に対処する技術的・道徳的・行政的要請から、特に施策主体としての東京都を中心に様々な調査研究が試みられているが、まだ十分ではなく、特に、廃棄物の収集、中間処理、輸送、最終処分の空間経済学的分析と成果・費用分析は、これまでほとんど実行されずに放置されたままであった。ごみの発生と処理、施策の現状を調査し、東京都のごみ収集・処理に関する長期的視点での在るべき姿を技術的に検討するために、財団法人エンジニアリング振興協会地下開発利用研究センターは、地下空間利用システム研究開発等事業の一環として平成4~5年にわたり「東京都23区内ごみ輸送システムに関する調査研究」を実施したが、著者は、この調査研究プロジェクトに参加し、研究会議、討論を通じて多くの資料と情報に接近し、有益な示唆を多数受けることができた。本論稿は、後に予定している経済学的分析に対する前哨的研究に当たるものとして、東京都23区内のごみ処理問題の現状と対策について収集された情報、素材、研究資料、討論及びいくつかの実態調査の成果を経済学的見地で資料的かつ学習的に展望し、基本的な問題点を整理したものである。

Journal

  • 総合都市研究

    総合都市研究 (53), 17-40, 1994

    東京都立大学都市研究センター

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