雄略紀5年「葛城山の猟」の出典

書誌事項

タイトル別名
  • The Source of “Katsuragisan no Ryo” in Nihonshoki, the Fifth Year of the Yuryaku Era
  • ユウリャクキ 5ネン 「 カツラギサン ノ リョウ 」 ノ シュッテン

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抄録

『日本書紀』の文章には漢籍からの流用が少なくない。その多くは類書からの孫引きである。くだんの類書には久しく『藝文類聚』を擬する説が行われてきたが,該説は不備を有することから,わたしは『華林遍略』の利用を首唱した。しかし近年,瀬間正之から雄略紀5年「葛城山の猟」の出典を例に『藝文類聚』説の復活が提起された。小論は,瀬間説を検討しその成立し得ないことを確認するために書かれる。果たして,瀬間説は『華林遍略』から『太平御覧』にいたる古類書の継承関係についての誤解にもとづき立論されたことが明白になった。やはり『藝文類聚』利用の徴証は皆無といわねばならない。小論は,『華林遍略』説の蓋然性の高さを再確認するとともに,和類書『秘府略』を利用した『華林遍略』収載文の復元をも実施した。佚文から推量するに『華林遍略』の収載文は長文傾向と考えられるが,つねにそうではなく,『藝文類聚』と全同の節略文をも有していたことが判明した。これは小論が初めて指摘した事実である。また「葛城山の猟」に『華林遍略』からの流用があったことも小論が初めて認定した。

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