脳脊髄液中Neuron-specific enolaseが高値を示した後躯麻痺黒毛和種子牛の1症例 : 症例報告

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抄録

6 日齢の黒毛和種雌子牛が,突然の後躯麻痺による起立不能を呈した.左後肢の膝蓋腱反射亢進,両後肢の前脛骨筋および腓腹筋反射減弱が認められ,胸髄から腰髄の脊髄損傷が疑われた.病理解剖では第1 頸髄および第3 腰髄から第6 腰髄の硬膜下に出血を認めた.組織学的検査では,第3 腰髄以降の脊髄白質で散在性の軸索変性および脊髄灰白質で神経細胞体の色質融解を認めた.本症例の脳脊髄液中Neuron-specific enolase(NSE)をELISA 法により測定したところ,77.32 ng/mℓであり,健常対照群(N=9)の脳脊髄液中NSE 濃度(平均± SD:1.68 ± 0.63 ng/mℓ)より高値を示した.牛の脳脊髄液中NSE は神経細胞損傷を示すバイオマーカーになりうる可能性が考えられた.

日本家畜臨床学会 第47回学術集会 最優秀発表演題

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