福岡県の自動車産業と地域金融機関

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  • フクオカケン ノ ジドウシャ サンギョウ ト チイキ キンユウ キカン

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抄録

広範な関連産業を抱える自動車産業は就業人口、製造品出荷額等で日本経済を代表する存在であり、その動向が立地地域の経済状況に与える影響は極めて大きい。しかしながら、今日、グローバルな競争に直面した自動車産業は「最適立地」を志向して海外生産を拡大しており、国内の生産拠点では「空洞化」の懸念が高まっている。今後、自動車産業が国内での生産を維持・拡大していくためには、完成車メーカーや一次サプライヤーだけでなく、二次サプライヤー以下を構成する中堅・中小企業のさらなる実力アップが不可欠である。他方、地銀等の地域金融機関は中堅・中小企業を主力とした地元企業に必要な事業資金を提供するとともに、地域の経済情報の結節点として機能しており、これまでも地域経済の発展に重要な役割を果たしてきた。それゆえに、東京一極集中を是正し地方の経済活性化を目指す「地方創生」でも地域金融機関は重要視されており、地域企業の生産性や効率性の向上等を目指す「地域企業応援パッケージ」にて積極的役割を果たすことが期待 されている。地域金融機関は日本国内での自動車産業の競争力強化に資する中堅・中小企業の実力アップに貢献できるのか。そのためには何が必要か。本稿では国内の新興集積地である福岡県の自動車産業の分析を通じて、これらの問いに答えていきたい。以下Ⅱ.では、本稿の対象となる福岡県の自動車産業と地域金融機関が活躍する福岡県の貸出金市場を概観する。Ⅲでは、今回構築したデータベースに基づき、中小企業者や進出事業所を含んだ福岡県の自動車関連企業の経営面での実態を明らかにする。Ⅳ.では、これら企業の金融機関取引の分析を通じて、福岡県の地域金融機関が地元の自動車産業の発展に貢献できるかどうかを占いたい。

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