食道癌患者に対する放射線化学療法の予後因子の検討と予後予測モデルの構築

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  • ショクドウガン カンジャ ニ タイスル ホウシャセン カガク リョウホウ ノ ヨゴ インシ ノ ケントウ ト ヨゴ ヨソク モデル ノ コウチク

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抄録

我々は、食道癌患者に対する放射線化学療法(CRT)の予後因子を明らかにし、信頼性高く予後を予測することを目的に予後予測モデルを作成した。食道癌と診断され、初回治療として5-fluorouracil+白金製剤+放射線照射からなるCRTを施行した患者108例を対象とした。エンドポイントは死亡とした。CRT施行前の患者背景についてCox比例ハザードモデルを用い、予後因子を抽出した。さらに抽出された予後因子を組み合わせ、予後予測スコアを作成した。対象患者の平均年齢は64.0歳であり、男性が97例(89.8%)を占めた。癌の進達度はT4が50例(46.3%)を占め、1年生存率は54.2%であった。多変量解析の結果、栄養摂取形態(常食vs流動食、流動食vs中心静脈栄養)、T分類(T1-3 vs T4)の2因子がCRT施行後の食道癌患者の予後に独立して寄与する因子として抽出された(p<0.05)。抽出された2因子のハザード比を整数に近似し、スコア化した(常食:0点、流動食:1点、IVH:2点、T1-3:0点、T4:1点)。全患者のスコアをもとに患者を3群に層別したところ、低・中・高スコア群の生存率に有意差が認められた(1年生存率79.4% vs 48.2% vs 15.4%、p<0.001)。CRT施行後の食道癌患者の予後には治療前の栄養摂取形態やT分類が関与していることが示唆された。それらにより構成されたスコアの妥当性が示され、信頼性高く予後を予測する指標になると思われた。(著者抄録)

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