批判的実在論における実践的認識論と「認識論的相対主義」の意味

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タイトル別名
  • ヒハンテキ ジツザイロン ニオケル ジッセンテキ ニンシキロン ト ニンシキロンテキ ソウタイ シュギ ノ イミ
  • Practical Epistemology and the Meaning of `Epistemic Relativism' in Critical Realism

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説明

本稿の主題は,実証主義的科学論を批判して実在論の立場に立つ科学論・社会科学論を展開している批判的実在論(Critical Realism =:CR)の哲学の特質について検討し,特に誤解の多い「認識論的相対主義」の主張の意味を解明することである。特に本稿では,その課題をCR の創設者ロイ・バスカーの諸著作の詳細な検討によって遂行している。「認識論的相対主義」と存在論的実在論は両立可能である。認識論的相対主義はむしろ,人間の認識活動の自由と自存的な対象の実在性格との双方を承認した認識論にとって不可欠な原理である。この立場はしかし,不可知論的な相対主義の立場ではない。認識の相対的な正しさを,究極的には「実践的適合性」を基準に判断できるとする「判断論的合理主義」と一体のものである。こうした論点を解明するなかから,世界の自存的性格の承認とともに世界に対する実践的介入を組み入れた人間の概念生産実践である意存的認識過程を位置づける次元媒介的な実践的認識論の構図が明らかになる。

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