クザーヌスの認識論と存在論:『知ある無知』をめぐって

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タイトル別名
  • クザーヌス ノ ニンシキロン ト ソンザイロン : 『 チ アル ムチ 』 オ メグッテ
  • Nicholas of Cusa's Epistemology and Ontology in De docta ignorantia

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抄録

type:論文

ニコラウス・クザーヌスの否定神学的思惟の核心は「知ある無知」の洞察,すなわち,人間の認識能力が,神はもとより事物(res)の真理(veritas)あるいは「何性」(quidditas)をも正確には捉えることができないとする論点にある。本稿では彼の代表作とされる初期のDe docta ignorantia(『知ある無知』)をテキストとし,そこで展開される認識論と存在論,および両者の内的連関の論理構造について検討していく。それによって,「知ある無知」を根本原理とするクザーヌスの否定神学思想が,宇宙論をも含むその独自な存在論を基盤として成立するものであることを明らかにし,さらにそうした彼の視点が,伝統的な「否定神学」の議論を踏まえつつも,実質的にはそれとは異なる新たな位相に立つものと見る解釈の可能性を提示する。

収録刊行物

  • 天理大学学報

    天理大学学報 63 (2), 19-30, 2012-10-23

    天理大学学術研究委員会

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