東京都の国分寺崖線における緑地環境の保全とその適正利用 : 保全主体間の関係性を中心にして

書誌事項

タイトル別名
  • トウキョウト ノ コクブンジ ガイセン ニ オケル リョクチ カンキョウ ノ ホゼン ト ソノ テキセイ リヨウ ホゼン シュタイカン ノ カンケイセイ オ チュウシン ニ シテ
  • A Study on the Conservation of Green Environment and its Wise Use in the Zone of Kokubunji Escarpment : Focusing on Relationships between Conservation Actors

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抄録

本論文では東京都の国分寺崖線の緑地環境において、緑地保全の主体間の相互関係に注目して緑地保全のメカニズムの比較分析を行った。事例地域で現地調査を行った結果、国分寺崖線における緑地保全は地域によって違いがあることが明らかになった。小金井市南東部では政策的な保全が効果を発揮しており、行政による緑地の整備や利用が進められていることが明らかになった。一方、世田谷区西部では市民団体が緑地の維持管理をボランティアで行っており、行政や地域住民の保全活動の仲介役になっていることが明らかになった。このように、現在の国分寺崖線沿いでは地域ごとに保全主体が多数分布している状況であり、それらの保全主体間の相互協力体制やまとめ役となる大きな組織は存在していない。さらに、地域の自然環境、歴史文化、社会経済などを総合的に考慮した保全活動も十分に行われていない。そのため、各地域において保全の課題が生まれており、地域レベルでの緑地保全では限界が生じている。このような状況を打開するため、国分寺崖線全体で緑地保全に関する知識や活動の共有が必要である。本論文では河川の環境保全活動における流域思考を援用し、国分寺崖線においても流域思考に基づく保全の必要性を説明した。かくして、国分寺崖線において流域思考による緑地保全を進めていくには、環境教育による保全の意識や活動の広がりが適切な緑地保全のモデルになるといえる。

収録刊行物

  • 観光科学研究

    観光科学研究 (1), 33-50, 2008-03-30

    首都大学東京 大学院都市環境科学研究科地理環境科学専攻 観光科学専修

被引用文献 (1)*注記

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