サルトーリの概念階梯論とその批判

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タイトル別名
  • G.Satori's Concept Ladder and its Criticisms
  • サルトーリ ノ ガイネン カイテイロン ト ソノ ヒハン

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説明

四十数年前G.サルトーリがA.P.S.R.誌上に発表した概念階梯論は、比較政治分析の概念展開における精確と明晰を訴える提言として広く注目され支持されてきた。しかし最近の研究では、その提言内容は幾つかの重要な点で必ずしも満足のいくものではないことも指摘されてきた。この研究ノートでは、D.コリアーやG.ゲーツらの驥尾に付しつつ、「古典的」概念化、「放射状」概念化、「家族的類似性」概念化とそれぞれ称される三種の概念形成アプローチを対比して、サルトーリの概念階梯論とその批判を概観する。この概観を通じて概念階梯論の輪郭を浮き彫りにしていくが、意図するところは、とりわけ次の二点を確認することにある。第一に、コリアーやゲーツらは内包と外延の逆比例関係に関するサルトーリの主張に内在する重要な欠陥もしくは例外を巧みに指摘していること、しかし第二に、サルトーリが当初提示した比較政治分析の本来的なジレンマや概念形成上の課題に関する主張の核心は依然として損なわれていないこと、これである。比較政治分析に従事する者にサルトーリがかつて提起した問い、概念拡大適用に陥ることなく概念の「旅行」をいかにして成し遂げられるかという問いは、比較方法論上相変わらず難題中の難題であり、本稿はこの難題の何たるかを認識するための、微々たる膳立てでしかない。

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