キュウリ緑斑モザイク・ウイルス-スイカ系によるスイカのモザイク病および果肉劣変に関する研究(2) : 果肉劣変の発生要因とその機構
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説明
1. 1968年における千葉県のスイカの果肉劣変果の大発生はその原因がCGMMVによることが明らかになった。2. CGMMVの接種による生育阻害は定植時には無接種の57%,着果時には84%となり,早期接種ほど影響が大きかった。3. 早期接種の場合,スイカの果肉劣変果の発生は症状や分折結果の一致からは同化機能の低下など呼吸基質の供給阻害によっておこる生理的劣変果と同じ発生機構によるものと思われ,比較的軽症であった。4. 着果後接種した場合,接種後5日~10日の間に果実の呼吸の増加が認められた。これが果実の成熟過程で果肉の劣変に結びついたものと思われ,きわめて重症であった。5. この呼吸の増加は果実内にウイルスを認めなくてもおこり,接種に対する抵抗作用と思われ,内生エチレンを発生した。6. 接種時の果実の生育ステージにより劣変症状は異なり,早期接種は乾性の,後期接種は湿性の劣変症状となった。7. CGMMVによる劣変機構は感染に対する抵抗作用として茎葉にパーオキシターゼが活性化し,内生エチレンの発生の引き金となり,果実の呼吸は高まる。果実内部は呼吸障害をお乙し,生育のためのエネルギー獲得が嫌気的解糖系になるため,果実の成熟過程において果肉の劣変に結びついたものと思われた。果実の外観が正常果と見分けがつかないのは果皮周辺は表面呼吸によって正常な呼吸が可能であったからであろう。
収録刊行物
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- 千葉県農業試験場研究報告 = Bulletin of the Chiba-Ken Agricultural Experiment Station
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千葉県農業試験場研究報告 = Bulletin of the Chiba-Ken Agricultural Experiment Station (15), 55-66, 1974-03
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1050564288513933696
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- ISSN
- 05776880
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- 本文言語コード
- ja
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- 資料種別
- journal article
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- データソース種別
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- IRDB