桑園の管理に関する試験(1) : 中耘除草施肥が桑の成育収量および土壌に及ぼす影響

抄録

桑園の主要な管理作業として施肥及び中耕,除草の三作業があげられるが,これら三作業が桑の生育収量にどのように影響し,どのような効果をもつかをみるために,既設桑園を供用し三作業をそれぞれ組合せた試験区を設定し1946年以降5ヵ年試験を継続し,試験終了時には一部試験区について根系及び土壌調査を行った.その結果を要約すれば次のようである.(1)中耕はマイナス効果を示し,1株の条数を減じ収量低下の方向に作用した.中耕の意義は主として除草の代替作業として認められた.(2)除草効果は大きく収量増加に作用したが,中耕との相乗効果は殆ど見られなかった.(3)施肥の単独効果はマイナスに作用し,除草または中耕をともなうとき発現した.とくに除草をともわないとき桑と雑草との競合を激化し主作物の生育を著しく抑制した.(4)中耕により地表面10cm層の根系分布が抑制されたが,深さ20cm層には細根量の増加がみられた.中耕を行わないときは地表面の細根分布密度が高く,とくに雑草草生では顕著で土壌が膨軟となった.このような表層における細根分布密度の粗密は下層にまで影響し,全根量と密接な関連があることが観察された.(5)今後の桑園管理のあり方を考えるとき地表維持を中核とし,同時に作業の省力化が要望されるとき,その方向は従来の裸地中耕法から,無耕耘による被覆法に移行するものと思われ無耕耘と深耕とが交互に行われる管理技術体系が想定される.

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