カラマツのプロビナンスに関する研究(1)

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  • カラマツ ノ プロビナンス ニカンスルケンキュウ 1

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抄録

(i)本調査は1974年六大学(岩手大,東京大,東京農大,静岡大,岐阜大,及び信州大)のメムバーにより産地別,母樹別に球果を採取し,1球果当りの種子の総数及び重量並に1年目の生長を検討したものである。(ii)調査した産地は馬の神(宮城県),日光(栃木県),浅間(長野県),上高地(長野県),御岳(長野県),王滝(長野県),八ヶ岳(長野県),秩父(埼玉県)及び富士山(山梨県)である。(iii)各産地では5本の母樹をえらび,1母樹から30ケの球果を採取し,各球果並に種子の長径,短径,及び重量を測定し,それらの種子は播種された。次に1年目の稚苗の生長調査は,1母樹につき4鉢(1鉢5本植),20本であり,したがって1産地当り調査本数は100本となる。(iv)調査結果の概要は次の通りである。(a)球果の大きさ(長径,短径)は,日光,八ヶ岳産のものが,大きく,かつ1球果当りの重さも重く,馬の神,富士山及び秩父産の球果は大きさ及び重さも軽く,また球果の長さ(長径),重さの母樹間の変異巾は浅間は大であり,王滝は長さ,上高地は重さの変異巾が小さかった。また球果の長径及び短径と重さとの間には,夫々正の相関がみられた。(b)一球果当りの種子の総数及びその重さは日光,浅間が最も大であり,馬の神,富士山は小さかった。また母樹間の変異巾は日光,浅間が大きく,馬の神,富士山は小さかった。千粒種子重量を求め,海抜高とT.G.Wとの相関をみたが,はっきりしたことはいえない。(c)発芽率を調べたが,採種後室内にて,長期間測定のため放置したので,発芽率は著しく低下した。そこで発芽率と苗長,発芽率と種子重量との相関については,今後,検討したい。(d)第1年目の幼苗の生長を調べた結果,種子の重量が重い場合は,その伸長生長は良く,さらに日光,浅間,御岳及び八ヶ岳は生長が良く,馬の神,上高地,秩父及び富士山は生長が悪かった。特に馬の神は伸長生長は著しく悪く,早くに生長が休止した。伸長生長の母樹間の変異巾は浅間が大だった。(V)球果の大きさ及び重量は産地の違いによるか,母樹の樹令が高い,或は海抜高が著しく高い等の諸因によるかは興味があるところであり,今後の検討としたい。

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