参入阻止戦略下の新規参入産地の供給行動

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  • サンニュウ ソシ センリャクカ ノ シンキ サンニュウ サンチ ノ キョウキュ

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以上,既存大産地の参入阻止戦略に対して,新規参入産地は,供給面(生産面)において,どのように反応するのかを分析してきた. まず,既存大産地の参入阻止戦略と,新規参入産地の供給面での反応との関係について述べよう. われわれは第4節より,既存大産地から参入阻止戦略を受ける可能性がある(A野菜に関して)場合には,ない場合と比べて,新規参入産地は,総供統量(-A野菜供給量+B野菜供給量)に占める,危険な(参入阻止戦略を受ける可能性がある,という意味で)A野菜の供給量割合を減少させ,安全な(参入阻止戦略を受ける可能性がない,という意味で)B野菜の供給量割合を増加させる,という結論を得た. つまり,既存大産地は,新規参入産地に対して,参入阻止戦略(A野菜に関して)を実行する可能性があるという心理的脅威をあたえることによって,あたえない場合と比べて,新規参入産地のM市場へのA野菜供給量を少なく抑制出来るのである. そして,以上の結論は,新規参入産地にとって,M市場への新規参入(A野菜に関して)を開始することが十分に魅加的である(参入阻止戦略を受ける可能性があるにも拘らず. )場合でも(第1節の(4)式が成立する場合),妥当するのである. もしも,新規参入産地にとって,M市場への新規参入(A野菜に関して)を開始することが魅力的でない(参入阻止戦略を受ける可能性があるため. )場合には(第1節の(4)式の不当号が逆向きに成立する場合),もちろんのこと,新規参入産地はM市場への新規参入(A野菜に関して)を開始しないであろう. つぎに,新規参入産地の危険回避の程度と,新規参入産地の供給面での反応との関係について述べよう. われわれは第5節より,既存大産地から参入阻止戦略を受ける可能性がある(A野菜に関して)場合には,新規参入産地がより危険回避的になるほど,総供給量(-A野菜供給量+B野菜供給量)に占める,危険な(参入阻止戦略を受ける可能性がある,という意味で)A野菜の供給量割合がより減少し,安全な(参入阻止戦略を受ける可能性がない、という意味で)B野菜の供給量割合がより増加する,という結論を得た. つまり,既存大産地による参入阻止戦略のA野菜供給量(新規参入産地のM市場へのA野菜供給量)抑制効果は,新規参入産地がより危険回避的になるほど,より有効に作用するのである。

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