シマグワの葉形と葉長・葉幅比について

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タイトル別名
  • シマグワ ノ ヨウケイ ト ヨウチョウ ヨウハバヒ ニ ツイテ

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説明

1)桑葉は葉底部の形態によって,心脚葉,截脚葉,鋭脚葉の3タイプに分けられ,優先する葉形を基準に,個体・品種を葉形型に類別した場合,シマグワの心脚葉型:截脚葉型:鋭脚葉型の出現比はほぼ1:1:1であった.これに対し,本土桑品種の大部分は心脚葉型に属し,現在の普及品種はすべて心脚葉型であった.2)シマグワでは各葉形型ともに異形葉の混入率が比較的高いのに対し,本土桑での異形葉混入率は低く,また,本土桑でも截・鋭脚葉型品種は存在するが,その比率は低い,このことから,品種成立の過程で心脚葉型への集中が起こったものと推測される.3)葉長・葉幅比は本土桑に比べシマグワの方が小さく,葉型別では心脚葉の葉長・葉幅比が大きく,鋭脚葉で小さい.4)心脚葉型個体・品種群の底主脈分岐角度はシマグワの場合80度以上,本土桑では90度以上であり,截・鋭脚葉型個体・品種群の分岐角度はおおむね90度以内である.5)底主脈の分岐角度と葉長・葉幅比の関係では,全体としてみると余り高い相関関係が認められなかった.しかし,分岐角度に対する葉長・葉幅比の相対的な大きさに従って類別すると,本土桑は3つのグループに分けられ,シマグワは別の1グループを形成しており,この4グループ内では,両者の間にかなり高い相関関係がみとめられる.また,この関係には葉形型による差異は認められなかった.6)シマグワと本土桑の3群を合せた4群について,底主脈分の分岐角度と葉長・葉幅比の関係を示す回帰式を比較すると,回帰係数にはほとんど差が認められず,回帰定数に差が認められた.7)各群間にみられる葉長・葉幅比の差は底支脈の発達程度など底主脈の分岐角度以外の要因によるものと考えられる.8)当面するシマグワの品種選抜にあたっては,心脚葉型個体に着目するのも一つのアプローチの方法と考えられる.

収録刊行物

  • 蠶絲試驗場彙報

    蠶絲試驗場彙報 (116), 1-11, 1982-12

    つくば : 農林水産省蚕糸試験場

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