岡山県蒜山地区におけるジャージー牛飼養農家とホルスタイン牛飼養農家の経営比較

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  • オカヤマケン ヒルゼン チク ニ オケル ジャージー ウシ シヨウ ノウカ ト

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現在,わが国の酪農経営に拾いて飼養されている乳牛は,その殆どがホルスタイン種で占められている. 確かにホルスタイン種は,良質な飼料条件のもとで高能力を発揮し,特に乳量に関しては明らかに他の品種に秀でるものがある. しかし,適地適品種の考えに立ちかえればホルスタイン種による酪農だけでは,効率のよい酪農経営が展開されるとは思われない. そこで本研究は,主に岡山県蒜山地区において展開されているジャージー酪農の経営調査の中から得られた結果をもとに,わが国酪農におけるジャージー種による酪農の成立条件を追求していくことを目的として行なわれた. 調査農家は,成牛30頭以上の専業経営に限定して選定された. 又,ジャージー種による酪農経営とホルスタイン種による酪農経営を比較するために,主にジャージー種を飼養している農家4戸,ジャージー種とホルスタイン種をほぼ半数ずつ飼養している農家2戸,ホルスタイン種を飼養している農家4戸の計10戸を選定した. 粗収益では農家1戸当り平均でみると,ホルスタイン農家がジャージー農家よりも422万円余り上回っていた. この差は,ホルスタイン種とジャージー種の乳量の格差による牛乳収入の違いと廃牛価格の違いによるものと考えられる. 逆に生産費用では農家1戸当り平均でみると,ジャージー農家がホルスタイン農家よりも466万円余り安価になっていた. この結果は,ジャージー種の濃厚飼料給与量がホルスタイン種に比べて約1,000㎏余り少ないことにより,ジャージー農家の購入飼料費が削減されたことによるものであった. 所得では農家1戸当り平均でみるとジャージー農家とホルスタイン農家は,ほぼ似通った成績を示した. 以上のことから,日本においてもジャージー種による酪農経営は,ホルスタイン種による酪農経営と対等に運営されることが実証された. 又,TDN自給率に関しては,ジャージー農家とホルスタイン農家では1戸当り平均,それぞれ,54.3,32.3%となって明らかにジャージー農家で高い値を示している. このことは,蒜山地区において土地利用性の点でジャージー種による酪農が,ホルスタイン種による酪農よりも優れていることを意味している。 以上のことから,今後の日本の酪農は,適地適品種の考えに則った上で展開されることが望ましい. そうすることにより,日本の穀物の自給率は高められて自活された酪農が展開されていくものと思われる。

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