水稲の早期栽培地帯における湛水土中直播栽培法に関する研究(6) : 雑草の生態と防除

抄録

湛水土中直播栽培における雑草の発生生態の特性を明らかにし,雑草の防除法を確立しようとした。1. 一年生雑草及びマツバイの発生消長は,播種後40日までは,湛水土中直播栽培でも移植栽培とほとんど変わらなかった。2. 除草剤を利用する上で,直播水稲の葉数はノビエの葉数に比べ1から2葉小さく推移した。3. 播種後約30日間の湛水土中直播栽培におけるノビエの葉数の推移は,移植栽培のそれとほとんど相違がなかった。4. 湛水土中直播栽培では,移植栽培に比べ,播種後初期から各種雑草の発生数が多く,乾物重も多くなった。5. モリネート粒剤,CNP粒剤,ピラゾレート粒剤,ベンチオカーブ粒剤,ブタクロール粒剤,ベンチオカーブ・ピラゾレート粒剤,ベンスルフロンメチル・ジメピペレート粒剤,モリネート・ピラゾレート粒剤及びジメピペレート・ベンゾフェナップ粒剤の9薬剤について,処理時期を変え水稲に対する安全性を調査した結果,ピラゾレート粒剤は播種直後からノビエ1葉(播種後5日)まで,ベンスルフロンメチル・ジメピペレート粒剤及びモリネート・ピラゾレート粒剤は,稲出芽揃い期(播種後7日)からノビエ2葉(播種後10日)まで適用可能であった。6. ピラゾレート粒剤は,日平均気温30℃の高温条件で薬害が発生しやすかった。25℃以下では薬害は軽微であり,回復も早かった。7. ピラゾレート粒剤処理後は少なくとも一週間は3cm程度の湛水状態に保たないと除草効果の低下が著しかつた。8. オキサジアゾン乳剤及びCNP粒剤の播種前処理は,直播水稲の出芽・苗立ちを抑制し,実用性はなかった。9. ピラゾレート粒剤の1回処理では,多年生雑草が少ない条件でも,播種後約60日間の抑草は不可能であった。10. ピラゾレート粒剤と播種後約20日の移植栽培の初期除草剤との組合せ処理は,一年生雑草及びマツバイ,ホタルイに対して除草効果が高く,薬害もなく有効であった。

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