ナシ枝枯病および胴枯病に対する効果的で簡易な薬剤防除法の確立

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  • ナシ エダガレビョウ オヨビ ドウガレビョウ ニ タイスル コウカテキ デ カ

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説明

ナシの枝幹病害の効果的で簡易な薬剤防除について検討した。その結果は以下のとおりであった。1. 外観上はほとんど区別がつかないナシ樹の主幹および主枝の病斑部から常法に従って菌を分離した結果,枝枯病菌が優先する園と胴枯病菌が優先する園があった。2. 果点などから腐敗した果実から常法に従って菌を分離した結果,不完全世代はMacrophomaの菌が高率に分離され,付傷および無傷接種で果実を腐敗させ,接種に用いたものと同一の菌叢を示す菌が再分離された。3. 枝枯病菌,果実腐敗菌および輪紋病菌のベノミルに対する感受性はすべてMICは25μg/ml以下であり,同じく胴枯病のMICは0.38μg/ml以下であった。菌糸の生育はMICよりもかなり低い濃度でも相当抑制された。4. 主枝の表皮を形成層には達しないように浅く削り,そこへベノミル水和剤を塗布1ヵ月後の形成層内部における残留量は,水和剤単用では3.95μg/mlであったが,マシン油乳剤原液を加用して塗布した場合は26.6μg/mlであった。5. 枝枯病および胴枯病に対する効果は,主幹および主枝の健病境界部分の表皮を浅く削った後薬剤を塗布すると明らかに高くなった。防除効果は,マシン油乳剤加用ベノミル水和剤およびイミノクタジン酢酸塩塗布剤3%の3倍液および0.1%製剤の原液が高く,チオファネートメチル塗布剤の効果はやや低かった。6. 健病境界部分を浅く削り,そこへ薬剤を塗布したところ,カルスの形成はチオファネートメチル塗布剤,イミノクタジン酢酸塩3%塗布剤および同0.1%製剤は良好であったが,マシン油乳剤加用ベノミル水和剤の塗布はやや盛り上がりが不良であった。7. マシン油乳剤加用ベノミル水和剤は,当試験結果などに基づいて,枝枯病および胴枯病の防除に適用拡大された。

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