砂質土における土壌の可給態リン酸含量と露地野菜の生育・収量の関係ならびに土壌中でのリン酸の移動

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  • サシツド ニ オケル ドジョウ ノ カキュウタイ リンサン ガンリョウ ト ロ

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6種類の野菜を用いて,砂質土(中粗粒褐色低地土,長崎統)の可給態リン酸含量(土壌100gあたりトルオーグP2O5)と収量の関係を明らかにするとともに,土壌中でのリン酸の移動について検討したところ,以下のような結果が得られた。1. ホウレンソウの収量は可給態リン酸含量の増加にともない増加し, 300mgを超えると急激に低下した。ダイコンでは可給態リン酸含量が,20~500mgの範囲で収量は高かった。コカブの収量は10~600mgの範囲で可給態リン酸含量が高くなると徐々に増加した。ネギでは可給態リン酸含量の増加にともなう収量の増加は緩やかで,ほぼ500mgで最高収量となり,それ以上では低下した。レタスでは可給態リン酸含量が10mg以下で収量は著しく低く,可給態リン酸含量の増加にともない急激に増加し,400mg以上で低下した。タマネギの収量は可給態リン酸含量が30mg以下では著しく低く,可給態リン酸含量が高くなると急激に増加したが,200mgでは低下した。2. 可給態リン酸含量50mgにおいて,レタス,ホウレンソウ,コカブでは最高収量の90%,ダイコンではほぼ最高収量,ネギでは最高収量の87%,タマネギでは66%であった。タマネギを除いた他の野菜の収量は,可給態リン酸含量50mgで最高収量の85%以上であったので,50mgが砂質土における野菜に対する土壌の可給態リン酸含量の適正範囲の下限値と考えられた。3. 最高収量の95%となる可給態リン酸含量は,各野菜とも60~160mgの範囲であった。可給態リン酸含量100mgでは,ホウレンソウ,ダイコン,レタス,タマネギでは,最高収量の95%以上,ネギ,コカブはそれぞれ最高収量の91,92%の収量となったので,100mgが適正範囲の上限値と考えられた。4. 設定リン酸10mgを除いて,設定リン酸49mg以上の区では,年次経過にともない作土の可給態リン酸含量が指数関数的に減少する傾向がみられた。50mg以上の可給態リン酸含量が50mg以下になるまでの減少率を求めると,前年の値に比べて平均で21%の減少であった。5. 設定リン酸10mgでは深さ40~50cmの水溶性リン酸含量は1mg,可給態リン酸含量は8mg,全リン酸含量97mgとなり,設定リン酸49mgでは,それぞれ,1mg,8mg,120mgであった。一方,設定リン酸が300mgではこの深さの水溶性リン酸含量は4mg,可給態リン酸含量は30mg,全リン酸含量は222mgで高く,下層へのリン酸の移動量が大きかった。

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