ひょう害ニホンナシ園における樹勢回復の追跡調査

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  • ヒョウガイ ニホンナシエン ニ オケル ジュ セイ カイフク ノ ツイセキ チ

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説明

盛夏期に発生(1983年7月27日)したひょう害ニホンナシ園について,被災後の樹勢回復に関する基礎資料を得るため追跡調査を実施した。なお,被災後の調査は被災程度の重い順に激甚園,甚園,被災程度がより軽度なその他の園で行った。1. 残存する着葉程度が異なる`幸水'園の被災5年後の平均果重は,無被害園に比べて残存着葉率20%以上の園との差は小さかった。しかし,残存着葉率16%以下の園とは40g以上の差が認められ,6年後も同様で着果負担能力は劣った。2. 残存着葉程度が異なる`幸水'園の総合的(葉色・新梢長・えき花芽率・着果負担能力)な面から見た樹勢回復は,残存着葉率20%以上の園で3~4年間,これ以下の園では5~6年間必要と考えられる。3. 被災当年の萌芽は,ひょう害程度の軽い甚園で多かった。激甚園,甚園とも剪定は萌芽を促進するために有効で,せん定の強度は激甚園は中せん定が,甚園では弱せん定が優れていた。4. 被災後の萌芽状況,新梢伸長は`豊水'が優れるなど,樹勢の回復は`幸水'に比べて`豊水'のほうが早かった。5. 甚園における被災後のせん定の有無による平均果重の差は`幸水'は被災6年後に, `豊水'は5年後になくなった。しかし,6年後には`幸水'の平均果重は目標値に達したが,`豊水'はやや小さく,10a当たり収穫量は`幸水'3.4tで目標値に達したが,`豊水'は目標値を若干下回った。このことから,着果負担能力も考慮した成木`幸水',`豊水'の樹勢回復には5~6年間を要すると考えられる。

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