富士山北麓の溶岩上に成立するアカマツ林の種組成,林分構造および樹木の年輪生長

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  • フジサン ホクロク ノ ヨウガン ジョウ ニ セイリツ スル アカマツバヤシ ノ シュ ソセイ リンブン コウゾウ オヨビ ジュモク ノ ネンリン セイチョウ

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富士山北麓地域において,熔岩流上に成立した剣丸尾アカマツ林の遷移について予測するための基礎データを得ることを目的として,同林分の種組成,林分構造および一部の樹木個体について年輪生長を調査した. 1.調査プロット全体に出現した種子植物は全72種であり,高木層に2種,亜高木層に20種,低木層に36種,草本層に13種が認められた.これらには5種の針葉樹と1種の常緑広葉樹が含まれた.アカマツPinus densifloraは高木層で優占的であったが,他の階層では全く認められなかった.亜高木層にはコナラQuercus serrata,ミズナラQ.mongolia var.grosseserrata,ウリカエデAcer crataegifoliumなどが多く見られた.またシダ植物27種が観察された. 2.樹木個体の水平分布様式はランダムであり,本林分は自然更新由来と推察された.また,林冠ギャップはほとんど見られなかった.アカマツの個体密度は1000本ha-1と推定された. 3.樹木のサイズ分布はL字型を示し,全種を合わせた総胸高断面積は73m2ha-1と推定され,全体の94%はアカマツが占めた. 4.本アカマツ林は1907年-1918年の12年間に定着した林齢100年以下の林であり,年平均直径生長は1-3mmであった. 5.亜高木層以下の樹木の樹齢は38年から57年であり,年輪生長は1mmを越えることはなかった. 6.熔岩流の年代とアカマツの樹齢から,剣丸尾アカマツ林は人為的な破壊を受けたのち成立した二次林であると考えられた.亜高木層以下を構成する樹種はアカマツ侵入後30年頃に侵入したと推察された.本調査林分にはアカマツの稚樹がないことから,将来はミズナラとコナラが優占種になると考えられた.

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