スナネズミ精子の凍結保存に関する研究

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  • Cryopreservation of Mongolian Gerbil Spermatozoa

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抄録

近年,遺伝子資源保全の観点から,精子凍結保存の重要性が増しつつある.1個体から得られる精子数は膨大であり,精子を凍結保存しておけば,将来,動物系統を再確立することが可能となる.すなわち,凍結精子を後に融解し,体外受精・胚移植といった手段を経ることにより,導入遺伝子が伝達された個体を作出する事が可能である.また,精子凍結保存の大きな利点として,初期胚の場合のような凍結前に実験操作が不要で,少数の個体からただちに凍結を行うことができ,しかも最小のスペースで多数の精子を保存できるといった点があげられる.すでにかなりの家畜や実験動物では精子凍結保存は行われているが,スナネズミでは未だ精子凍結保存の報告がされていない.そこで本研究では,マウス精子の凍結保存を基礎にし,実験1:様々な濃度の保存溶液から凍結保存に最適な保存溶液の選定,実験2:精子採取法の違い(切り刻み法とSwim up法)による凍結精子の生存率への影響,実験3:精子採取法の違いによる凍結精子の培養時間毎の運動率,鞭打ち様運動率を調べた.実験1では,15%ラフィノース+5%スキムミルク,10%ラフィノース+4%グリセロール,10%ラフィノース+4%エチレングリコールが生存率と運動率共に他の保存溶液より良好な結果が得られた.実験2,3では,切り刻み法とSwim up法を用いて精子を採取し,生存率・運動率・鞭打ち様運動率はSwim up法の保存溶液であるラフィノース+スキムミルクで良好な結果が得られた.また,鞭打ち様運動率は,Controlでは培養2時間で最高に達したのに対して,凍結精子は培養1時間で最高に達するという結果が得られた.

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