北海道産落葉広葉樹5種の滞水試験 : 異なる滞水処理下での成長と葉の展開

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  • ホッカイドウサン ラクヨウ コウヨウジュ 5シュ ノ タイスイ シケン コトナル タイスイ ショリ カ デ ノ セイチョウ ト ハ ノ テンカイ

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抄録

北海道産落葉広葉樹の耐滞水性と適応形態を明らかにするため,道内の湿性地や河畔に一般的に生育する広葉樹5種(ハンノキ,ヤチダモ,ハルニレ,カラコギカエデ,ミズナラ)を用い,開葉直後から落葉まで145日間連続して滞水させる連続滞水処理区と,夏季3週間のみ滞水させる短期滞水処理区,対照区,の3処理を施した滞水試験を行った。 ヤチダモ以外の樹種では連続滞水処理により成長が抑制される傾向が見られ,特にハルニレ,カラコギカエデ,ミズナラの3種で顕著であった。この3種では,滞水による落葉も著しく促進された。 一方ハンノキとヤチダモでは,滞水への適応形態のひとつである不定根の発生能力が高く,滞水に伴う酸欠ストレスを回避して生育できるものと考えられた。さらに,ハンノキは個葉の寿命を延ばすことにより,滞水による貧栄養ストレス下での生育を可能にしていると考えられた。結果的に,これらの適応能力に乏しい樹種において滞水ストレスの影響が顕著に現れたため,これらを判断基準として実験に使用した落葉広葉樹5種の滞水ストレスへの耐性を整理すると,ハンノキ>ヤチダモ>ハルニレ,カラコギカエデ>ミズナラの順に適応力があると結論づけられた。

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