燻煙熱処理スギ材の振動的性質

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  • Vibrational Properties of Smoke-Heated Sugi(Cryptomeria japonica D. Don)Wood

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抄録

スギ丸太を80℃、35時間燻煙熱処理した。熱処理後、動的ヤング率(E)、比動的ヤング率(E/ρ)、動的せん断弾性率(G)、比動的せん断弾性率(G/ρ)、損失正接(tanδ)などの振動的性質及びこれらの性質と関係のある相対結晶化度(RDC)について調査した。RDCは、燻煙熱処理によって心材で増加する傾向を示したが、辺材では大きな変化は認められなかった。Eは、RDCの増加と対応して、心材で増加する傾向を示した。また、E/ρは心材、辺材ともに約9%の増加を示した。対照的に、G/ρは心材、辺材ともに減少する傾向を示した。一方、tanδは、辺材ではほとんど変化が認められなかったが、心材において増加する傾向が認められた。しかしながら、燻煙熱処理によって音響的性質を表わす物理量であるE/ρ、E/G及びEρは増加する傾向を示し、反対にG/ρについては減少する傾向が認められた。これらの結果から、燻煙熱処理は、これまで楽器用材に適さないと言われている木材の材質改良に効果的であることが示唆された。

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