対馬暖流の流勢評価について

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  • ツシマ ダンリュウ ノ リュウ ゼイ ヒョウカ ニ ツイテ

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抄録

対馬暖流の流勢については、0、50、100m層の最高水温、暖流の流幅、氷塊深度及び北上流量の指標により評価を行っているが、それらの総合評価をどう行うかについて、断面積算水温を算出し、その妥当性の検討を行った。 上記6種の流勢指標を統計的に総合するため、主成分分析を行って、全体変動を表すと思われる第1主成分に着目したが、その寄与率は高くなく、有効な方法ではないと思われた。 そこで、全体の流勢を表す指標として舮作線における鉛直断面のうち一定の断面を考え、この断面における水温の積算値によるアプローチを考えた。この断面積算水温の月ごとのデータを過去の「漁況海況予報事業結果報告書」や「日本海海洋調査技術連絡会」の議事録の海況の記載と比較してみたところ、1984年の異常低水温や86年春季の暖流の弱勢傾向、あるいは78年9月や94年10月の暖流の強勢傾向等その変動が読みとれたため、これを暖流の勢力を代表する指標として使うことは可能と思われた。 現行の6種の流勢指標のうち、断面積算水温に対して寄与率が最も高いのは暖流流幅で、相関も高いという結果となった。しかし、流幅については現行の5℃の指標水温ではとらえられない事例が1割以上もあったため、流幅の指標水温を月ごとに決めて舮作崎西方の対馬暖流流幅を計算し直し、その偏差値と断面積算水温の偏差値の相関をとったところ、その相関係数は0.89となり、やはり高いものとなった。断面積算水温と暖流流幅は相関が高いものと考えられた。

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