水稲栽培における長期持続型農薬の育苗箱施用による使用量削減技術

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  • スイトウ サイバイ ニ オケル チョウキ ジゾクガタ ノウヤク ノ イクビョウバコ シヨウ ニ ヨル シヨウリョウ サクゲン ギジュツ

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抄録

新規に開発された長期持続型箱施用剤について本県における防除効果や、箱施用剤利用の体系防除について試験を行い以下の結果を得た。 1. カルプロパミド粒剤は葉いもちに対し最長で処理88日後、8月上旬まで高い防除効果を示した。しかし、穂いもちには効果が低くなるため、穂いもちが発生しやすい気象条件の年は穂いもち防除が必要である。 2. プロベナゾール24%粒剤も処理82日後まで葉いもちに対し高い防除効果を示したが、本剤も穂いもちに効果がやや低くなるため、年によっては穂いもち防除が必要である。 3. アシベンゾラル-S-メチル粒剤は葉いもちに高い防除効果を示した。穂いもちの試験例は無いが、7月下旬の穂いもち防除までは葉いもちの発生を抑えていた。4. イミダクロプリド粒剤はイネミズゾウムシ、イネクビホソハムシに対し、成虫および幼虫の密度抑制効果が高く、また食害も少なく防除効果が高かった。ツマグロヨコバイについても防除効果を確認した。ウンカ類については8月に入ってからの幼虫への密度抑制効果が高かった。 5. 多くの害虫に効果があるとされるフィプロニル剤はイネミズゾウムシ、イネクビホソハムシ、コバネイナゴそしてニカメイガに対し、防除効果が高かった。特にニカメイガは第2世代まで効果が持続した。ウンカ類は成虫は少発生で効果が確認できなかった。8月に急増する幼虫についても2つの試験が相反し、効果は判然としなかった。 6. 長期持続型箱施用剤を使用した際の、その後の穂いもちの防除時期と回数を2カ年にわたり検討したが、いもち病の発生が少なく、効果的な使用法については確認できなかった。 7. カルプロパミド・イミダクロプリド粒剤使用の防除体系により、いもち防除が本田施用から始まる慣行防除体系よりも薬剤の有効成分投下量を約3割削減することができた。プロベナゾール・フィプロニル粒剤の防除体系では成分投下量削減の効果は得られなかったが、両剤の使用により、農薬散布回数と使用成分数の削減が可能である。

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