大野川におけるアユの母川回帰性の検討

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抄録

I.ALC標識は、標識付けした発眼卵からふ化した仔魚を飼育し、生育した体長148mm、体重48.2g、日令207日のアユで確認できたことから、通常の遡上アユの大きさであれば、標識の確認は充分可能であると考えられる。したがって、ALC標識は、アユの流下状況や遡上状況を調査するうえで有効な手法の一つになると思われる。 II.大野川におけるアユのふ化時期は、目視による産着卵調査から推測した時期と遡上アユの耳石から求めた推定ふ化時期とに、若干の差が認められた。 III.アユの母川回帰性の調査は、1992年が標識付けした発眼卵を1,279万粒放流に対し、遡上してきたアユの耳石を427尾、1993年が1,576万粒放流に対し、遡上アユの耳石を1,257尾検査したが、標識が付いた耳石は確認できなかった。このことから、大野川におけるアユの母川回帰性の有無を確認するためには、標識発眼卵の量及び遡上アユの耳石検査量を数倍増やす必要がある。

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