機能性卵に関する試験

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  • キノウセイラン ニ カンスル シケン

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抄録

機能性卵を生産するために、採卵鶏に種々の機能性物質を給与して、卵中への移行と産卵性及び卵質に及ぼす効果について検討し、次の結果を得た。 1)γ-アミノ酪酸を含む桑葉粉末を成鶏用飼料に15%添加して給与したが、γ-アミノ酪酸の卵中への移行は認められなかった。産卵性については桑葉添加区が劣る成績を示した。また、卵黄色は添加区が濃くなったが、その他の卵質には差はみられなかった(試験1)。 2)いちょう葉に含まれるケルセチン(フラボノイド配糖体)について、いちょう葉抽出物を成鶏用飼料に0.1%及び1%添加して給与したが、ケルセチンの卵中への移行は、どちらの区においても認められなかった。破卵率は添加区において低下し、卵黄色は添加区において濃くなった(試験2)。 3)桑葉中のβ-カロチンについて検討するため、成鶏用飼料に桑葉を10%添加して給与した結果、β-カロチンの卵黄中への移行が認められたが、その濃度は機能性を謳うには充分ではなかった。産卵率、平均卵重は、桑葉10%添加によって対照区より低下したが、卵黄色が添加区において濃くなった。また、桑葉添加により鶏糞からのアンモニア発生が抑制された(試験3)。 4)成鶏用飼料にアルファルファミールを10%と、β-カロチン製剤を0.5%添加して給与した結果、β-カロチンの卵黄中濃度は、製剤添加区では試験28日目には対照区の93倍、アルファルファミール添加区では4.5倍となった。産卵率については製剤添加区が最も優れた。また、卵黄色は製剤添加区で薄くなり、アルファルファミール添加区では赤色が濃くなった(試験4)。 5)成鶏用飼料にβ-カロチン製剤を0.2%添加した区と、β-カロチン製剤0.2%+大豆油2%を添加した区を設けて給与した結果、β-カロチンの卵黄中濃度は、試験28日目には0.2%添加区で対照区の93倍、大豆油添加区で105倍となった。産卵率については0.2%添加区が最も優れた。また、卵黄色は0.2%添加区及び大豆油添加区で薄くなった。鶏卵1kg当たり飼料費は、0.2%添加区は対照区の1.69倍、大豆油添加区は1.70倍となった(試験5)。 これらのことから、卵中への移行が確実なβ-カロチン製剤を単体で飼料に添加することによって機能性卵の生産が可能であり、これを通常の1.7倍程度の価格で販売できれば、経営上成り立つものと考えられる。

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