沖縄経済における農業経済の計量経済分析

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  • オキナワ ケイザイ ニ オケル ノウギョウ ケイザイ ノ ケイリョウ ケイザイ ブンセキ

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抄録

沖縄県は2002年度で過去3次にわたる沖縄振興開発計画に一つの区切りを迎える。新たな振興開発計画が本格化する中、復帰時に基幹産業として位置付けられていた沖縄農業とその政策対応はどう評価されるだろうか。沖縄農業の特色は島嶼、亜熱帯という地理的、気候的条件であり、基幹作物が本土における稲作に対し、さとうきび作を中心とする工芸農作物によって特徴付けられることにある。歴史的には本土復帰が1972年であるため、農地改革を経験せず、その間、基地経済に依存した消費型経済の定着という構造的特徴が挙げられる。このようにある意味、特殊な地域的事情から、沖縄の農業と経済は定性的な側面から論じられることが多かった。少なくとも現状の沖縄の農業と経済に関してポジティブな評価を与えるのは厳しいと考えるのが大勢であろう。確かに現在の沖縄農業の状況は決して満足のいくものではないが、これと同じことは日本農業全体にもいえることではある。沖縄振興開発計画下では産業政策など財政面で多くの優遇措置を講じながら、全国との格差是正、経済的自立の達成という明確な目的ですら、その成果は賛否両論の立場から論じられるというのも、地域固有の条件と全国的な環境条件の変化という複合的な影響が一因としてあるものと思われる。本小論はこれらの実情を踏まえ、復帰後の沖縄における農業経済の変化を財政面と県経済のマクロ的な側面との関連で明らかにし、これまでの農業政策に対する一定の評価を導き出すことを意図するものである。

収録刊行物

  • 農業経済論集

    農業経済論集 53 (2), 93-105, 2002-12

    福岡 : 食農資源経済学会

参考文献 (10)*注記

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