刈取適期幅拡大による良質粗飼料生産のための草種・品種の組合せ選定

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  • カリトリ テッキハバ カクダイ ニ ヨル リョウシツソシリョウ セイサン ノ タメ ノ ソウシュ ヒンシュ ノ クミアワセ センテイ

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抄録

近年開発された新品種を活用し良質粗飼料の生産を図るため、標高別に採草専用草地及び採草・放牧兼用草地における刈取適期幅の拡大及びマメ科率維持等の面から適正な草種・品種の組合せを選定するとともに、混播条件におけるマメ科率維持のための草地管理法を検討した。1.オーチャードグラスの極早生種からチモシーの晩生種までの草地を組み合わせることにより、1番草の刈取適期幅は低標高地では36日間、高標高地では18日間となり、さらに標高地別の草地を組み合わせることにより合計約2ヶ月間に適期幅が拡大されることが示唆された。2.採草地における収量は、低標高地のオーチャードグラス主体草地では早晩性の早い品種が優位であったが、チモシー主体草地では1番草収量が多収となるアッケシが勝った。また、高標高地ではチモシーのクンプウが多収であった。兼用草地でも品種による収量の優位性は採草地と同様の傾向であった。3.イネ科牧草とマメ科牧草との混播草地では、利用2年目以降マメ科率が低下する傾向にあった。低標高地における採草利用及び兼用利用草地における利用2年目までのマメ科率から、オーチャードグラスのアキミドリⅡ及びオカミドリに対してはミネオオハが、チモシーの各品種にはノースホワイトの組合せが比較的高いマメ科率を呈した。また、チモシーとマキミドリの組合せはマメ科牧草が優占化する傾向であつた。4.低標高地の採草利用1年目では目標とするマメ科率20%は上記組合せで得られ、利用2年目までの収量を単播区と比較した結果、マメ科牧草の導入により増収する傾向が示された。また、牧草のTIN含量はマメ科率の向上により高まり、TIN含量58%とするためにはマメ科率20%以上必要であった。5.高標高地ではマメ科率の定着及び維持が困難であったが、越冬率は小葉型品種が劣っていたことと、早春のマメ科牧草への照度はイネ科牧草との草丈差が35cm以上の場合に大きく低下したことから、光競合を考慮すると、葉柄長の長い大葉型品種の導入が適当と考えられた。6.マメ科率は、窒素の減肥により回復することが確認された。また、採草利用<兼用利用、と多回利用で比較的高い値を維持した。このため、マメ科率維持のための草地管理は1番草を出穂始め期~出穂期の早期刈取及び目標収量を10%減とした窒素少肥条件とすることが必要と考えられた。

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