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抄録

農学分野の多くの問題は非線形性が強く、また、解侯補数も莫大であることが多い。そのような問題に対しては従来の決定論的な計算手法による解析が困難である場合が多い。それらの問題を解くもしくは近似解を得る手法として注目を集めているのが、適応的あるいは知能的手法で生物系由来アルゴリズムである遺伝的アルゴリズム(GA)や人工ニューラルネットワーク(ANN)である。本研究で開発したDNAアルゴリズムは(DNAA)、GAやANNと同様な生物系由来アルゴリズムである。GAとDNAAの違いは、GAがエキソンのみを考慮に入れているのに対し、DNAAは、エキソンのみならずイントロンも最適化に貢献する要素として取り入れたことにある。エキソンとはタンパク質合成に必要な塩基配列であり、イントロンとはタンパク質の合成の際に情報源として用いられない塩基配列である。イントロンの役割は未だ解明されていないが、その重要な役割の一つが、突然変異による致命的な遺伝情報の破壊を減少させることにあるといわれている。本研究では、人工生命を用いてこの仮定を検証し、そして文字列探索問題とナップザック問題を用いてDNAAの性能を評価した。その結果、エキソンによる突然変異に対する防御が、人工生命が繁殖する上で良い効果を与えていること、そしてより重要度の高いエキソンにより長いイントロンが付加すること、そしてDNAAは、GAと比較し高い突然変異率に対してより安定した推定が行えることが明らかとなった。

収録刊行物

  • 農業情報研究

    農業情報研究 12 (1), 33-43, 2003-04

    東京 : 農業情報学会

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