温暖地向け硬質小麦新品種「タマイズミ」の育成

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  • オンダンチ ムケ コウシツ コムギ シン ヒンシュ タマイズミ ノ イクセイ

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説明

1. 「タマイズミ」は早生良質の「関系W364」を母に、白粒の「関系W361」を父として、人工交配を行い(関交1455)、以後、F2世代でトウモロコシ法による半数体育種法を適用して育種年限の短縮を図り、育成した品種である。2. 育成地では、「農林61号」と比較して、次のような特徴がある。1) 播性程度はI~IIで、出穂期で1日、成熟期で3日程度早生で、有芒褐ぷの小麦品種である。2) 稈長はやや短く、穂長はやや長く、穂数はやや少ない。耐倒伏性はやや優れる。3) 粒の形は中、粒大はやや大で、粒の色は黄で、粒質は硝子質である。4) 千粒重と容積重はやや大きく、収量性はやや少なく、見かけの品質はやや優れる。5) 縞萎縮病にやや強く、赤かび病には同程度、赤さび病とうどんこ病には弱い。穂発芽性は、やや劣り、やや難である。6) 製粉歩留が高く、ミリングスコアはやや高い。60%粉の灰分が多く、60%粉の色はやや劣る。7) 原麦及び60%粉の蛋白質含量が高く、しょう油や中華めん用に適する。3. 栽培適地は温暖地の平坦地である。三重県では、実需者からしょう油用として適性があると評価され、「農林61号」より熟期の早い「タマイズミ」を導入することで、県産麦の作期分散等にも寄与することができると考えられるため、2003年に推奨品種に採用された。また、栃木県、岐阜県でも、蛋白質含量が高い硬質小麦として注目され奨励品種等に採用された。

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