我が国で新たに発生したダイズうどんこ病の病原菌とダイズ品種の抵抗性反応

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  • ワガクニ デ アラタ ニ ハッセイ シタ ダイズ ウドンコビョウ ノ ビョウゲンキン ト ダイズ ヒンシュ ノ テイコウセイ ハンノウ

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抄録

1.転作面積拡大を背景にダイズの生産振興が図られているが、1998年8月に大分県竹田市の農家圃場でうどんこ病が多発生した。翌1999年にも発生がみられた。我が国ではこれまでに生産現場でダイズうどんこ病が問題となることはなかった。そこで、病原菌を明らかにするとともに、本病に対するダイズの品種抵抗性について検討した。2.発病株は、初めに葉の表裏面に分生子、分生子柄および菌糸からなる白色粉状の斑点を生じ、のちにこの斑点はしだいに融合して葉全体を覆うようになる。このような症状は後期には葉柄と茎にまで及んだ。3.現地圃場において発生は‘越前みどり枝豆’に限られ、発病品種は一様に多~甚発生した。‘むらゆたか’、‘フクユタカ’等主要品種では発病はなく、発病の品種間差異が明瞭であった。4.病原菌は、子のう殻を形成せず完全時代が不明なことおよび形態的特徴から、現時点ではErysiphe polygoni型のOidium sp.とするにとどめる。国内外の既報のダイズうどんこ病菌とは諸性質においてやや異なった。5.2か年計70品種・系統を供試した圃場試験の結果では、‘越前みどり枝豆’、‘アキヨシ’、‘ヒュウガ’、‘在来青豆’、‘キタノスズ’のほか、系統番号の8系統が罹病性であり、他の57品種は抵抗性であった。6.2か年の圃場試験の結果、‘越前みどり枝豆’、‘ヒュウガ’、‘在来青豆’で抵抗性の逆転現象がみられ、病原菌がレース分化していることが示唆された。7.第3本葉展開時のダイズ幼苗を用いた掃き落とし接種法は、その結果が圃場試験結果と一致することから、ダイズうどんこ病抵抗性の簡易検定法として利用可能である。

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