北太平洋において捕獲されたミンククジラおよびニタリクジラの血清中の性ホルモン濃度と精細管組織像との関連性について

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抄録

本研究では、索餌期におけるミンククジラおよびニタリクジラの血清中テストステロン()、エストラジオール-17β(E2)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH)濃度と精細管内組織像の関連性を検討した。2001年5-8月の北大西洋鯨類捕獲調査で捕獲された雄ミンククジラ(血清n=39、精巣n=15)および雄ニタリクジラ(血清n=14、精巣n=7)から血液サンプルと精巣を回収した。濃度は35.9%のミンククジラと57.1%のニタリクジラで測定限界値以下であった(<2.5pg/ml)。また、測定できた個体も低い値を示した。2種のクジラともE2、PSH、LH濃度は成熟・未成熟クジラ間で差は見られなかった。精細管数は成熟ミンククジラのほうが成熟ニタリクジラより多く観察された(P<0.05)。精細管直径は成熟ニタリクジラのほうが成熟ミンククジラより大きかった(P<0.05)。管腔が観察されたほとんどの精細管では、精祖細胞が一層しか観察されなかった。しかし、成熟ミンククジラ2/13頭と成熟ニタリクジラ4/4頭で精細管内に少数の精子が観察された。また、濃度が測定できない個体にも精子が観察された。以上より、索餌期において2種のヒゲクジラ類の低い濃度は精子生産量に反映していると考えられた。また、索餌期のミンククジラ・ニタリクジラにおいて、、E2、PSH、LH濃度から性成熟を判定することは難しいことが示唆された。

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