ネギ属植物に含まれるアリイナーゼの活性染色によるアイソザイム解析

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  • ネギゾク ショクブツ ニ フクマレル アリイナーゼ ノ カッセイ センショク ニ ヨル アイソザイム カイセキ

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ネギ(Allium)属植物に広く存在するアリイナーゼは、ネギ属植物に特有な含硫アミノ酸の一種であるアリインを加水分解して揮発・催涙性のアリシンを生成させる酵素であり、マルチジーンファミリーを形成していることが遺伝子レベルで明らかにされている。本研究では、タマネギ(A.cepa)、ニラ(A.uberosum)、ラッキョウ(A.chinense)、ニンニク(A.saivum)、ワケギ(A.wakegi)、及びネギ(A.fisulosum)の6種のAllium属植物に含まれるアリイナーゼタンパクの等電点電気泳動(IEF)分離ゲルの活性染色によるアイソザイム分析を行った。各植物体の鱗茎または葉しょう組織から硫安沈殿により析出させたタンパクを透析処理し、得られた粗タンパク抽出画分をcarboxymehyl cellulose(CM)樹脂を用いた弱陽イオン交換カラムクロマトグラフィーにより分画した。その結果、いずれの植物においても0.25M NaClで溶出される画分に高いアリイナーゼ活性が認められた。そこでこの画分をSDS-ポリアクリルアミドゲル電気得泳動したところ、約50kDaのタンパクが特異的に分画された。さらにこのフロント画分をdimehylaminoehyl cellulose(DEAE)樹脂による弱陰イオン交換カラムクロマトグラフィーにより分画したところ、ワケギ及びネギのフロント画分からアリイナーゼ活性を有するフラクションが得られた。これらのアリイナーゼ活性を示すピークフラクションを濃縮し、等電点電気泳動(IEF)により分離した後、分離ゲルに対してDinirophenylhydrazine(DNP)法をアリイナーゼ活性染色に適用した。その結果、いずれのフラクションについても複数のアリイナーゼ活性が濃茶色のスポットとして検出された。以上のことから、Allium属植物においては、種内及び種間でそれぞれ異なる複数のアリイナーゼアイソザイムの存在が明らかになった。

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