全齢人工飼料育による「ぐんま200」の蚕種製造

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抄録

原蚕全齢人工飼育による蚕種製造については、これまでのところ群馬オリジナル蚕品種を用いた実用試験はされていないので、県内に普及している「ぐんま200」の原蚕種を全齢人工飼料で飼育し、実用蚕種製造を行った。人工飼料への摂食性をよくするため、1齢の日本種原種「ぐんま」には桑粉末45%を入れた飼料を製造して給餌し、中国種原種「200」については、(株)日本農産工業の原蚕種用の人工飼料を給餌した。その結果、掃立時の摂食性は良好で稚蚕の成育は良好となった。日本種原種、中国種原種ともに2齢から4齢は、「くわのはな」1齢用飼料を給餌し、5齢については、「くわのはな」1齢用飼料を水分調整して給餌した。その結果飼料への適合性はいずれの品種も良好で、経過日数は日本種が中国種より全齢で1日程度短くなった。いずれの品種も目標となる繭重であった。蟻量1g当たりの種繭収繭量は3kgを目標としたが、日本種原種は繭重が軽いため目標に及ばなかった。採種検査では、種繭1kg当たりの粗卵量は47.6-57.2gであり、仕上がり箱数では179箱(1箱3万粒)製造し、平成15年の夏蚕期に養蚕農家に供給した。また、いずれの母蛾からも微粒子病原虫は検出されず、微粒子病フリーの蚕種製造ができた。以上の結果から原蚕全齢人工飼料育による蚕種製造技術の実用性が実証された。

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