テンサイS型細胞質由来のpreSatp6発現実験系の構築

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抄録

Owen型細胞質雄性不稔は現在テンサイ育種において広く用いられ、その原因遺伝子の有力候補として、ミトコンドリア遺伝子preSatp6が挙げられる。しかしながら、同遺伝子産物の機能は未だ明らかでないため、本研究ではテンサイS型細胞質由来のpreSatp6遺伝子を導入した形質転換体の作出を試みた。ミトコンドリア移行シグナルペプチドをpreSatp6に付加し、アラビドプシスの核ゲノムへ導入したところ、RNAへの転写は確認できたものの、翻訳産物の蓄積は見られなかった。preSatp6とアラビドプシス核ゲノムのコドン使用率が著しく異なっていたことから、これが導入遺伝子の翻訳阻害を引き起こしていると考えた。そこで、preSatp6において、アラビドプシス核ゲノムで使用率が低いコドンをすべて高いコドンに変更することで解決を試みた。トランジェントアッセイにより、使用コドンを変更した合成preSatp6にGFPを付加した融合遺伝子の発現が確認されたことから、使用コドンを変更することで翻訳効率が上がり、タンパク質の蓄積にまで至ることが明らかとなった。しかしながら、ミトコンドリア移行シグナルペプチドを付加した場合、移行阻害が見られた。ミトコンドリア移行シグナルペプチドとPRESATP6の間で何らかの相互作用が起きていると考えられる。

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