三重県の里山における主要群落の林分構造と種組成

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  • ミエケン ノ サトヤマ ニ オケル シュヨウ グンラク ノ リン ブン コウゾウ ト シュ ソセイ

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三重県内の里山における主要群落の林分構造や種組成などの特徴を把握するために112箇所の里山において植生調査を実施した。得られた結果をもとに里山生態系や生物多様性の保全の観点から里山の保全・管理策に関して若干の検討を行った。DBH≧4cmクラスの相対優占度を用いたクラスター分析により,調査地は16の群落型に分類された。そのうち主要群落であるコナラ型,アカマツ型,ウバメガシ型,シイ型,ヒノキ型,スギ型,モウソウチク型について検討を行ったところ,コナラ型は最も種多様性が高かったが,下層では常緑広葉樹やササ類が繁茂しており,種多様性の低下が懸念されるとともに,将来は常緑広葉樹林へと変化する可能性があると考えられた。アカマツ型の種組成はコナラ型と類似しており,マツノザイセンチュウによってアカマツが枯死した後にはコナラ型へと変化していくことが予想された。ウバメガシ型とシイ型は比較的安定した群落型であったが,林床植生の種類が少ない傾向がみられた。ヒノキ型,スギ型では林床植生の種類や多様性指数H'が比較的大きかった。なかには林床植生が乏しい箇所もみられたが適度な管理を行うことで動植物にとって重要な生息地となりうる可能性があり,里山景観全体の保全・管理を考える上で無視できない群落であると考えられた。モウソウチク型は種多様性が低く,分布拡大による他の群落型への影響が懸念された。DCAによる序列化から,これらの主要群落型の成立には立地要因や気象要因と人為攪乱の程度が影響しているものと考えられた。いずれの群落型でも,個々の現場の林分構造や種組成に応じた保全・管理策の検討と実施が不可欠であり,順応的管理や景観レベルで里山生態系を保全することについても検討する必要がある。

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