北海道の落葉広葉樹林に生息する昆虫群集の多様性と林分状況との関係

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  • ホッカイドウ ノ ラクヨウ コウヨウジュリン ニ セイソク スル コンチュウ グンシュウ ノ タヨウセイ ト リンブン ジョウキョウ ト ノ カンケイ

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説明

北海道の壮齢から老齢の落葉広葉樹林において昆虫類の多様性と林分状況との関係を調べた。調査は2002-2003年に道内8林分(道北、道東、道央、道南で各2地点)で行った。誘引性衝突板トラップ(ベンジルアセテート使用)を5月下旬-9月上旬に設置し、昆虫類を捕獲した。捕獲個体数が多かったカミキリムシ類、ナガクチキムシ科、オサムシ科、チョウ類の個体数、種数、種多様度(H')と林分状況(全立木、衰弱立木、枯死立木、上層木、中下層木の本数と胸高断面積合計、全立木と上位40本の平均胸高直径、立木の樹種数、立木の種多様度、倒木や落枝の本数と断面積合計)との関係を解析した。カミキリムシ類は43種1762個体捕獲された。カミキリムシ類は主に枯死木・枯枝を食べるが、その個体数、種数、種多様度いずれも枯死立木の本数と胸高断面積合計、倒木や落枝の本数、断面積合計との間に相関が認められなかった。一方、カミキリムシ類の種数と衰弱木の胸高断面積合計との間に負の相関が、種多様度と中下層木の胸高断面積合計との間に正の相関が認められた。主に枯死木・枯枝を食べるナガクチキムシ科は18種160個体捕獲された。その個体数と種数はともに腐朽の進んでいない倒木や落枝の本数との間に正の相関が、立木の平均胸高直径との間で負の相関が認められた。また、ナガクチキムシ科の種多様度と枯死立木の胸高断面積合計との間に負の相関が認められた。捕食性昆虫であるオサムシ科は22種285個体捕獲された。オサムシ科の種数と上位40本の平均胸高直径、および中下層の胸高断面積合計との間に正の相関が、腐朽の進んでいない倒木や落枝の本数との間に負の相関が認められた。また、オサムシ科の個体数と中下層の胸高断面積合計との間、種多様度と立木の種多様度との間に正の相関が認められた。主に生きた植物を食べるチョウ類は22種159個体捕獲された。チョウ類の種多様度と衰弱木の胸高断面積合計との間に正の相関が認められた。また、その個体数と樹種数との間に負の相関が認められた。

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