対称融合によるバイレイショ二倍性半数体(Solanum tuberosum L.)と二倍性野生種S. etuberosumとの体細胞雑種

抄録

二倍性半数体間の体細胞融合はバレイショの育種にとって実用的な技術になり、二倍体間の対称融合の技術を確立することが重要である。そのためバレイショ品種メークィンから作出した二倍性半数体(Solanum uberosum L.)と二倍性野生種S.euberosumとの対称融合により、四倍体の体細胞雑種を作出した。メークィンの二倍性半数体系統A002とA041の葉肉プロトプラストはIOA処理をして、単独では分裂できないようにしてから、S.euberosumの系統W091の葉肉プロトプラストと電気融合した。雑種細胞に由来すると考えられるカルスは緑色で生育が良く、黄色で生育の悪いW091のカルスと容易に識別できたので、雑種と考えられるカルスを選抜して再分化培地で培養した結果、多数の再分化植物が得られた。得られた再分化植物を温室で育てた結果、雑種強勢を示していたことと、形態的特性、特に優性遺伝子によって支配されている茎の基部でのアントシアニン蓄積から雑種植物であると推定された。更にグルタミン合成酵素(gluamine synhease)のcDNAをプローブにした制限断片長多型(RFLP)からも雑種であることが確認された。得られた雑種植物についてフローサイトメーター(flow cyomeer)による核のDNA量から倍数性を調べた。調査した28個体の体細胞雑種のうち10個体(35.7%)は四倍体で形態的にも正常であり、対称融合により得られたものと考えられた。4個体(14.3%)は六倍体であり、このうち3個体は形態的に正常で、1個体は異常であった。その他の6個体(21.4%)は八倍体で8個体(28.6%)は混数体であり、これらはいずれも形態的に異常であった。

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