イネ育苗期におけるいもち病抵抗性に対するイネ体ケイ酸含有率の影響

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  • イネ イクビョウキ ニ オケル イモチ ビョウ テイコウセイ ニ タイスル イネタイ ケイサン ガンユウリツ ノ エイキョウ

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抄録

育苗期におけるイネいもち病抵抗性に対するイネ体ケイ酸含有率の影響を明らかにした。いもち病罹病種子をケイ酸含有量の少ない育苗土で育苗した場合,ケイ酸資材として育苗土に施用するシリカゲルの量を増加させることにより,葉鞘上のいもち病の病斑数は減少した。苗のケイ酸含有率は,シリカゲル施用量の増加に比例して直線的に増加した。しかし,シリカゲル施用量を増加しても苗の窒素含有率は変わらなかった。シリカゲルを6段階の割合で施用した育苗土で真性抵抗性遺伝子型および圃場抵抗性の異なる9品種を育苗し,それら品種のいもち病抵抗性を評価するためにいもち病菌(稲89-137;レース007.0)を接種した。その結果,品種のいもち病の罹病程度は品種の圃場抵抗性の強弱に影響され,品種間のケイ酸含有率には大きな差がなかった。しかし,供試したすべての品種で,苗のケイ酸含有率を高めることにより病斑数は急激に減少した。苗のケイ酸含有率が5%に達した苗の病斑数は,シリカゲルの無施用苗の5~20%まで低下した。異なる地域から得られた8種類の土壌にシリカゲルの量を変えて苗(品種;はえぬき)を育苗し,いもち病に対する感受性を比較した。いずれの土壌においても苗のケイ酸含有率が5%に達した時,病斑数は著しく減少した。以上の結果から,育苗期におけるいもち病の発生を抑制する苗のケイ酸含有率は,品種の抵抗性や育苗培土の種類にかかわらず移植時で5%以上であると考える。また,ケイ酸含有率の目標値を設定することは,イネの育苗培土を適正に評価することにつながる。

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