山口県中山間地域農業集落の動態とその要因

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  • ヤマグチケン チュウサンカン チイキ ノウギョウ シュウラク ノ ドウタイ ト ソノ ヨウイン

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抄録

1.山口県中山間地域の農業集落で、減少集落(世界農林業センサスの調査対象から除外された集落)の実態を、農業集落カードデータを用いて分析した。減少集落は農家数、農家人口等の規模が小さく、寄り合いの回数や実行組合組織率、農道・用排水路・生活関連施設の管理率などが高齢化及び農家人口の減少にともない下がることを明らかにした。特に、農家人口30人以下でその傾向が顕著であり、連携する人数規模の目安になると考えられた。2.将来的に集落機能の維持が予想される集落と維持の困難化が予想される集落で、各世帯の代表者と他出あとつぎから他出理由や他出者の居住地域、帰村の話し合い状況等を調査、比較分析した。農家人口の減少及び高齢化の進行には、集落の原生的耕地面積、経営方式、あとつぎの慣習、集落の性質、就業構造の違いなど過去の条件が大きく影響していることを明らかにした。3.集落機能の後退は、脆弱な生産基盤と歴史的な変遷や社会環境の変化により、あとつぎの他出や挙家離村等が発生し、集落規模が縮小することに起因すると考えられる。4.農業集落の維持にはその機能の維持が重要であり、1集落あたりの人口規模が小さい本県においては、農家30人以上の確保を一つの目安として、複数集落での連携が必要であるとともに、今後は高齢化や混住化に対応し、生産だけでなく定住視点を持つことが重要であると考える。

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