生け垣と自生樹のゲッキツにおけるミカンキジラミ幼虫および天敵類の発生状況

書誌事項

タイトル別名
  • イケガキ ト ジセイジュ ノ ゲッキツ ニ オケル ミカンキジラミ ヨウチュウ オヨビ テンテキルイ ノ ハッセイ ジョウキョウ

この論文をさがす

抄録

ミカンキジラミは、カンキツグリーニング病の媒介虫であり、南西諸島では普遍的に分布する。前報では、寄主植物のゲッキツは奄美群島では民家の生け垣や実生の自生樹などとして多く存在し、ゲッキツにおける発生がカンキツでの発生の多少に大きく関係していることを報告した。そのため、本病の発生地域におけるミカンキジラミの密度を抑圧するためには、ゲッキツを含めた防除が重要であると考えられた。そこでゲッキツにおける発生生態に基づく効率的な防除技術を確立するため、幼虫および天敵類の発生状況を調査した。夏期と冬期に剪定された生け垣の新梢の発生は12月から1月は少ないものの、年間を通して連続的に発生し、これらに同調して若齢幼虫を中心にして5齢幼虫も低い割合で継続的に発生した。一方、自生樹では新梢の発生が春期に集中したため、春期以外、若齢幼虫の発生も少なく、5齢幼虫の発生は散発的であった。このように、生け垣と自生樹では、ミカンキジラミの発生相に大きな差異が認められ、防除上は生け垣ゲッキツ対策がより重要であることが示唆された。また、ゲッキツからは捕食性の天敵類や幼虫寄生蜂が採集されたが、これらによりミカンキジラミが低密度に維持される可能性は低いと考えられた。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ