治山堰堤が設置された東信地域の小渓流における魚類および両生類の生息状況

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  • チサン エンテイ ガ セッチ サレタ トウシンチイキ ノ ショウケイリュウ ニ オケル ギョルイ オヨビ リョウセイルイ ノ セイソク ジョウキョウ

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治山堰堤の設置が水生生物に及ぼす影響を明らかにする目的で南佐久郡佐久穂町を流れる霧久保沢川において渓流性魚類を中心にその生息状況を調査した。2005年8月と11月に河川本流に設けた2〜5区間において個体数推定および標識放流による移動調査を行った。電気ショッカーを用いた捕獲調査によってイワナ、ヤマメ(アマゴを含む)、カジカの3魚種ならびに両生類のハコネサンショウウオ幼生が確認された。最下流区間を除けばイワナが最優占種であり、その平均生息密度は、8月で12〜23尾/100m2、11月で21〜37尾/100m2であった。治山堰堤の上下区間における標識調査では、8月に堰堤下流で放流された30個体のうち4個体が11月に堰堤上流に移動しているのが確かめられた。しかしながら、ダム下流部のイワナの肥満度はその上流部に比べて有意に低く、ダム建設がイワナの成長に負の影響を及ぼした可能性が示唆される。また、イワナについてはミトコンドリアDNAのチトクロームb領域の塩基配列を解析したところ、調査地から4つのハプロタイプが確認された。最下流区間では上流域にみられない2タイプが確認され、これらは放流に由来する可能性が示唆された。

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