ヤエヤマヒルギ樹皮のメタノール抽出画分の生理活性 : 細胞毒性、抗腫瘍活性を中心として

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  • ヤエヤマヒルギ ジュヒ ノ メタノール チュウシュツ カクブン ノ セイリ カッセイ サイボウ ドクセイ コウシュヨウ カッセイ オ チュウシン ト シテ

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抄録

西表島産ヤエヤマヒルギ(Rhizophora stylosa Griff.)の樹皮抽出画分について、抗腫瘍活性等をin vitroおよびin vivoで検討し、以下の成績を得た。風乾樹皮からメタノール抽出物を得、これの水可溶画分を酢酸エチルで液・液分配して酢酸エチル画分を得た。さらに酢酸エチル画分からSephadex LH-20カラムクロマトグラフィーによってメタノール:水溶出画分とアセトン:水溶出画分を得た。これら4試料についてRAW264.7株細胞を用いて細胞毒性試験を実施した結果、いずれの試料も0.39mg/mlの最低用量において高い生存率を示した。この結果を踏まえて4試料についてそれぞれ3濃度(400〜20μg/ml)を設定し、LPS刺激下でのRAW264.7株細胞のNO産生量に及ぼす影響を調べた結果、酢酸エチル画分の40μg/mlの濃度において対照(PBS)の約1.6倍相当、140μmol/LのNO産生が見られた。酢酸エチル画分を再度Sephadex LH-20カラムクロマトグラフィーに付し、エタノール・メタノール溶出により10画分(Fr.1〜10)に細分画し、それぞれの25μg/ml暴露下におけるマウス腹腔内マクロファージのNO産生に及ぼす影響を調べた結果、Fr.2〜Fr.9において標準カテキンよりも高いNO産生がみられた。また、Sarcoma-180担癌ICRマウスの腹腔内に酢酸エチル画分(3mg/mouse/day)を約10週間にわたって隔日投与したところ、マウスの生存率では有意な延命効果を得るには至らなかったが、腫瘍の転移および腫瘍容積において抑制傾向がみられた。これらの結果から、酢酸エチル画分にはRAW264.7株細胞あるいはマウス腹腔内マクロファージのNO産生促進作用やSarcoma-180腫瘍細胞の転移ならびに増殖の抑制作用があると考えられ、有用な免疫調整物質が含まれている可能性が示唆された。

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