イネいもち病抵抗性検定方法の改善と真性抵抗性同質遺伝子系統の育成

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説明

古川農業試験場でいもち病圃場抵抗性を強と評価したイネ育成系統が配布先で弱と評価されるという評価の食い違いは、真性抵抗性遺伝子Piiに病原性を持つ菌の自然分布が古川では非常に少なかったために、Piiを持つ系統は発病程度が低くなり、本来の圃場抵抗性が中程度以下にもかかわらず、強いと誤って評価して選抜育成してきたことによるものと考えられた。外国イネの真性抵抗性を利用する育種では抵抗性の崩壊という苦い経験から抵抗性の検定には真性抵抗性と圃場抵抗性の関係については神経質なほど配慮されたが、Piiのような日本イネ在来の真性抵抗性遺伝子を持つ系統の圃場抵抗性の評価にあたっては、それ程配慮がなされなかったものと考えられる。以上の反省のもとに、古川では葉いもち検定方法の真性抵抗性遺伝子型別に圃場抵抗性を評価するように検定方法を改めた。その結果、育成系統の圃場抵抗性を正確に評価でき安定した圃場抵抗性を持つ新品種を育成できるようになり、いもち病抵抗性育種上の問題は一応克服できた。真性抵抗性の積極的な利用を目標として、真性抵抗性の異なる9種のササニシキの同質遺伝子系統東北IL1号〜東北IL9号を育成した。

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