生体試料中ポリ塩化ビフェニル全異性体分析のための前処理法の検討

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  • セイタイ シリョウ チュウ ポリ エンカ ビフェニル ゼン イセイタイ ブンセキ ノ タメ ノ マエ ショリ ホウ ノ ケントウ

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抄録

生体試料中におけるポリ塩化ビフェニル(PCBs)全異性体分析を高分離能ガスクロマトグラフ-高分解能質量分析計(HRGC-HRMS)を用いて行うための前処理法について検討した。試料にはトド(Eumetopias jubatus)の肝臓を用い、試料からのPCBsの抽出は、凍結乾燥によって水分を除去した後、ジエチルエーテル/ヘキサン(1:2(v/v))混液を用いた室温振とう抽出法によって粗脂肪を得る方法で行った。抽出された粗脂肪にクリーンアップスパイクを添加し、アルカリ(1 mol/L水酸化カリウム/メタノール)分解-ヘキサン抽出によって粗抽出液とし、多層シリカゲルクロマトグラフ及び高速液体クロマトグラフ(HPLC)によって精製し、試験溶液を得た。クリーンアップスパイクの回収率は一塩素化PCBsと一試料の十塩素化PCBを除いて40〜120%の範囲にあり、また、ロックマスの著しい変動も認められなかったことから、今回の前処理法が生体試料中におけるPCBs全異性体分析の前処理法として概ね有用であることが示された。本法によるPCBs全異性体分析の結果、今回分析に供したトド肝臓中の総PCBs濃度は2,700〜3,400ng/g-fatであった。また、トド肝臓からは#153が最も高く300〜400ng/g-fat検出され、総PCBs濃度の10.6〜12.1%を占めていた。この他、#99、#118、#138、#177が100ng/g-fatを超えた濃度で検出され、これら5異性体だけで全体の33.8〜35.5%を占め、特定の異性体がトド肝臓中に濃縮していることが確認された。

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