採光性牛舎における牛舎内温度・牛床成分の推移および牛床の堆肥化処理とイタリアンライグラスにおける採光性牛舎堆肥施用の影響

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  • サイコウセイ ギュウシャ ニ オケル ギュウシャ ナイ オンド ギュウショウ セイブン ノ スイイ オヨビ ギュウショウ ノ タイヒカ ショリ ト イタリアンライグラス ニ オケル サイコウセイ ギュウシャ タイヒシヨウ ノ エイキョウ

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説明

従来のパドックまでを屋根材の一定割合に透明資材を用いた屋根で被った採光性牛舎について、牛舎内での牛の高さでの温度調査と敷料ふん尿混合物(以下牛床という)の成分推移を調査した。また、3年以上にわたり床替えを実施していない採光性牛舎の牛床についての堆肥化試験を実施し、イタリアンライグラスにおける採光性牛舎堆肥施用の影響を調査した。1.暑熱期における採光性牛舎での牛の高さの温度は屋根付近よりも低く、かつ1対3採光性牛舎と一般牛舎との温度推移パターンに相違は認められず、採光性牛舎であることによる牛への暑熱の影響はないと考えられた。また同時に、1対3採光性牛舎では、1年半にわたり牛床は泥濘化せず、床替えしないで連続使用すること自体は可能であり、本県大島地域のような暑熱の厳しい地域でも牛舎として使用できることも示された。しかしながら、1年以上連続使用した牛床では、不揮発性のリン酸(P2O5)、加里(K2O)、石灰(CaO)、苦土(MgO)濃度はいずれも6ヶ月時の約2倍に濃縮して、EC値も上昇し、特に乾物中加里濃度は9%にまで近づいた。2.堆肥化試験では、3年以上全面的な床替えを実施していない採光性牛舎の牛床であっても、通常のショベルローダーによる切り返し処理で堆肥化が進行すること、および成分の濃縮がさらに進んでK2O濃度は10%を超えることが確認された。3.この採光性牛舎堆肥のイタリアンライグラスでの施用試験からは、施用量によって飼料成分としてのカリウム(K)濃度、テタニー比(K/(Ca+Mg)当量比)の有意な上昇が確認された。テタニー比については、安全域とされる2.2をいずれの区でも大きく超えていたことから、採光性牛舎堆肥の利用についての土壌分析及び堆肥成分分析に基づく十分な施肥設計が必要と思われた。4.農家のイタリアンライグラスの成分調査では、採光性牛舎堆肥利用によってカリウム濃度は高くなる傾向を、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)濃度は低くなる傾向を示し、これらのバランスを示すテタニー比は採光性牛舎堆肥の利用で有意に高まっていた。また、一般牛舎堆肥利用の3番草でもカリウム濃度は4%を、テタニー比は3を超えるなど、高カリウムとなっていた。採光性牛舎の堆肥であるか否かに拘わらず、カリウム過剰とならないような施肥管理が必要と思われた。5.以上のことから、採光性牛舎利用にあたっては、堆肥の利用も考慮した6カ月以内での床替えと適切な堆肥化が望まれ、K2O濃度に留意した施肥管理が必要であると思われる。

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