8年で架け替えられた歩行者用木橋の腐朽

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  • 8ネン デ カケ カエラレタ ホコウシャ ヨウ モッキョウ ノ フキュウ

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抄録

近畿地方のある公園に架設され、8年後に架け替えられた歩行者用の小型の桁橋について、予想以上に短期間に腐朽した原因を検討した。この木橋では、床版には劣化は目立たず、その下の主桁と床組の上部が著しく腐朽していた。主桁と床組はベイマツの集成材で、ラミナ段階で第四級アンモニウム化合物系の木材保存剤が加圧注入されていた。主桁の腐朽部位から単離された木材腐朽菌は、DNA同定と菌体の形態観察から、チョークアナタケと判定された。この菌の木材分解力を調べたところ、ベイマツ心材を辺材と同じ程度に分解することができた。また、第四級アンモニウム化合物を含浸させたベイマツ試験体を分解できなかったことから、この薬剤はこの菌に対して十分な防腐効力を有していると判断された。一方、第四級アンモニウム化合物の呈色反応および定量分析の結果、この主桁には薬剤がほとんど浸潤していないことが明らかとなった。以上より、この木橋の主桁が短期間に腐朽したのは、ベイマツ心材を辺材と同じ程度に分解できるチョークアナタケによって攻撃されたことと、木材保存剤の浸潤が不良であったことが原因であると結論づけられた。

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