小豆島北西部海域における人工魚礁の効果について

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抄録

(1)四海沖海域は、香川県下でも屈指の好漁場で漁船漁業を中心とした漁業の盛んなところである。(2)透明度は、年間を通じて小豆島全域より低かった。(3)潮流は、ひき潮が卓越しておりみち潮の約4倍あった。(4)当海域の魚礁では、メバル、カサゴ、アイナメ、クロダイ、アカシタビラメが周年漁獲された。(5)カサゴは、2年魚が6月から漁獲に加わり、その後も2年魚が漁獲の主対象である。1年間の成長は約7~8cmと推定される。(6)摂餌量指数は、アイナメ、クロダイが各2.8、2.9と高く、キュウセン、マコガレイが各0.13、0.16と低かった。(7)餌料の競合関係をみる類似度指数(Cπ)は、アイナメとカサゴが0.54と高いほかは低かった。(8)魚礁の付着生物の優占種は、フジツボ類、ホヤ類、海綿類で、餌料生物は総量の約1.1%を占めた。(9)標本船調査によると、刺網の年間漁獲量は約0.9tで、その30%が魚礁域であった。また、漁獲金額は約175万円で、1日3万5千円であった。一本釣りの漁獲金額は約168万円で1日平均で1万1千円で、刺網の3分の1であった。(10)魚礁域は、刺網で天然礁域0.52kg/反に比べて0.60kg/反、一本釣では、天然礁域2.7kg/日に比べて3.1kg/日と天然礁より利用率では低いものの単位あたり、漁獲量では高かった。(11)スズキのまきえ釣りは、総漁獲量2tのうち半分の漁獲量を占め、とくにα地点では1日あたりの平均漁獲量が6.5kgの高水準を持続し、漁礁の蝟集効果の大きい優れた場所であった。

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